フリースクールとは?わが子に合う「居場所」の選び方を考える
2026.01.06
文部科学省の調査によると、小・中学校における不登校児童生徒数は年々増加傾向です。そのため、学校以外の学びの場へのニーズが高まっており、近年注目されているのが「フリースクール」です。
この記事では、フリースクールの概要や学校との違い、費用相場などを解説します。お子さんの新しい居場所を検討するための参考にしてください。
目次
フリースクールの基礎知識と概要
文部科学省では、フリースクールを、学習活動や教育相談、体験活動などを行う民間施設と位置付けています。
ここでは、フリースクールの定義と基本的な概要を解説します。
フリースクールの定義や必要性
フリースクールとは、不登校など学校になじめない生徒に対して、さまざまな学習機会や安心できる居場所を提供する民間の教育施設です。スクールにより方針や教育理念が異なります。
また、フリースクールは、法律に基づく学校教育法に定められた正規の学校ではないため、義務教育の代替にはなりません。
しかし、フリースクールは、2016年に成立した「教育機会確保法」によって、公的に認知された教育の場となりました。
文部科学省では、2023年に「COCOLOプラン」の取り組みを公表しました。「COCOLOプラン」とは、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策です。「COCOLOプラン」は以下の3つの柱で成り立っています。
- 不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思ったときに学べる環境を整える
- 心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援する
- 学校の風土の「見える化」を通して、学校を「みんなが安心して学べる」場所にする
不登校の生徒に学びの場を提供しているフリースクールは、COCOLOプランを実現するために重要な役割を担っています。
対象年齢と受け入れ状況
多くのフリースクールでは、義務教育期間である小学生・中学生が主な対象です。
しかし、近年では、高校生を受け入れていたり、通信制高校のサポート校としての機能を併せ持っていたりするフリースクールもあります。
また、多くのフリースクールでは、年齢以外の入校資格や試験はありません。開かれた教育の場として、誰もが気軽に入学でき、学校生活に適応できなかった生徒の再スタートや学びをサポートしています。
フリースクールが「出席扱い」になる仕組み
文部科学省では、不登校の子どもがフリースクールに通う場合、中学校に登校しなくても出席扱いとして認められる「出席扱い制度」を定めています。
出席扱いが認められる条件は以下の通りです。(文部科学省「義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」より)
- 保護者と学校の間に十分な連携・協力関係が保たれていること。
- 当該施設は教育委員会等が設置する公的機関であること。ただし、公的機関の通学が困難で保護者と本人の希望がある場合、校長に適切と判断されれば民間の相談・指導施設も考慮される。
- 当該施設に通所または入所して相談・指導を受ける場合を前提とすること。
- 学校外の施設で行われた学習内容が、在籍校の教育課程に適切と判断された場合。
出席扱いが認められると、書類や調査書に出席日数が記録されます。
また、出席扱いが認められると、フリースクールに通う際の交通機関の通学定期も所定の申請、手続きをすれば、在籍校の場合と同じ割引率で使用できます。
学校とフリースクールの違い
学校とフリースクールでは、その「あり方」が根本的に異なります。そのため、学校が合わない生徒でもフリースクールで輝ける可能性は十分にあります。
カリキュラムの違い
学校では、学習指導要領に従って授業が行われます。学習指導要領とは、学校教育における教育課程(カリキュラム)の基準で、文部科学省が定めています。全国どこの学校でも一定水準の教育を提供できるようにするための指針です。
一方、フリースクールは、学習指導要領に捉われず、子どもの特徴や状況に合わせた学習内容を提供しています。
フリースクールに通う生徒は学習の進度や理解度が異なります。そのため、個別での学習支援を行っているフリースクールがほとんどです。
実際に、文部科学省「民間の団体・施設との連携等に関する実態調査」によると、85.2%のフリースクールで個別での学習支援を実施しています。
また、その日の活動を生徒自身で決められるフリースクールもあります。
例えば「午前中は読書をして、午後は職員と数学の勉強をする」「今日はみんなで料理を作る」など、生徒自らの興味・関心に基づいた学習が可能です。
校則・ルールの違い
学校では、生徒が守らなければならない校則が定められています。
一方、フリースクールは、子どもたちの自由や自主性を守る場所です。そのため、そこに通う生徒同士で話し合って自分たちで守るべきルールを決めるという運営方法がとられています。
自分たちで決めたルールだからこそ、守ろうとする意識が芽生え、社会性を身につけていきます。
ただし、いじめや暴力行為の禁止など、人として当たり前のルールは守らなければいけません。

フリースクールの6つのタイプ
フリースクールには、大きく分けて以下の6つのタイプがあります。
- 居場所を提供し、心のケアを重視するタイプ
- 学習支援をメインに行い、学校復帰を目指すタイプ
- 専門家や医療機関と連携してサポートをするタイプ
- 共同生活をするタイプ
- 自宅でサポートが受けられるタイプ
- 通信制高校が運営するタイプ
フリースクールの活動内容は施設によってさまざまです。お子さんの状態や興味に合わない場所を選んでしまうと、再び通えなくなってしまうリスクもあります。
お子さんに合うタイプをイメージしてみてください。
居場所を提供し、心のケアを重視するタイプ
生徒たちが安心できる居場所を提供しているフリースクールは、必ずしも学校復帰を目標にはしていません。
先生やスタッフ、仲間との交流を通じて、自信や学ぶ意欲を取り戻し、自己肯定感を高めることが主な目的です。
そのために、グループ活動やイベントなどを通じて、他者との良好な関係を築けるようサポートしています。
まずは安心できる場所を欲しているお子さんや集団行動や勉強への拒否感が強いお子さんには居場所提供型のフリースクールがおすすめです。
学習支援をメインに行い、学校復帰を目指すタイプ
学校への復帰を希望しているお子さんを対象とするタイプのフリースクールです。
復帰後にスムーズに授業に参加できるよう、通っている学校のカリキュラムや進度に合った学習支援を提供します。
学校復帰型のフリースクールでは、時間割が決まっていたり専門科目を指導してもらえたりするところもあります。
また、教員免許を持つスタッフや塾講師経験者がいる施設もあり、進学に関しても頼れる存在です。
学校の雰囲気は苦手なものの、勉強はしたいお子さんや高校受験を目指すお子さんには学校復帰型のフリースクールをおすすめします。
専門家や医療機関と連携してサポートをするタイプ
臨床心理士や社会福祉士などの専門家や医療機関と連携して最適な援助を提供する体制を整えているフリースクールです。
不登校経験のある生徒には、発達障がいや学習障がいなどを抱えており、人間関係や学習面で困難を感じる場合も少なくありません。
それぞれのお子さんの特性を理解し、専門的な知識を有するスタッフのトレーニングを実施しています。
さらに、医療提携型のフリースクールでは、同じような特性を持つ生徒たちとの交流を通じて、人間関係の構築や集団生活を送るためのスキルを養えます。
共同生活をするタイプ
寮などで、スタッフや他の子どもたちと共同生活を送るタイプのフリースクールもあります。
食事の準備や掃除などといった日常的な作業を分担し、自立心を学ぶことが目的です。また、他者との共同生活を通して、社会性や協調性も学べます。
共同生活型のフリースクールでは、予定が決められていたり、生徒の意思や自主性を尊重して活動したり、活動内容は施設によってさまざまです。
自宅でサポートが受けられるタイプ
自宅訪問型のフリースクールでは、スタッフが直接自宅を訪問し、サポートを提供します。
勉強に限らず、その生徒が興味を持つ活動を一緒に行い、外出意欲を取り戻すことが目的です。
長期間学校に行っておらず、引きこもりの傾向が強い生徒にとって、外出は簡単ではありません。
1番安心できる場所である自宅でスタッフとの信頼関係を構築し、少しずつ外に出ることを目指します。
また、自宅訪問型のフリースクールでは、家族との信頼関係が築きやすい点も大きなメリットです。
通信制高校が運営するタイプ
通信制高校やサポート校が運営しているタイプのフリースクールでは、正規の学校教育とフリースクール特有の柔軟性なサポートを兼ね備えています。
通信制高校が運営するフリースクールでは、通信制高校のレポート作成やスクーリング、テスト対策などの学習サポートが充実しています。
また、学習支援だけでなく、心理的なサポートや進学指導なども受けられ、高校進学や社会復帰へのステップとしても有効です。
生徒は自分のペースで学習を進めつつ、必要に応じて対面での指導や同年代との交流の場を持つことができます。
フリースクールの費用
フリースクールは民間施設です。そのため、基本的には利用料が発生します。費用の相場とその背景、そして近年広がりを見せている公的補助について解説します。
2015年に文部科学省が実施した「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」によると、フリースクールの入会金は5万3,000円ほど、月額の授業料は3万3,000円ほどです。
なお、共同生活型のフリースクールでは、光熱費や管理費、食費なども発生します。
近年では、不登校支援の重要性の高まりを受け、保護者の経済的負担を軽減しようとする自治体の動きが加速しています。
たとえば、東京都では、2024年度から「フリースクール等利用者支援事業(助成金)」を開始しました。フリースクールなどに通う不登校の義務教育段階の児童生徒の保護者を対象に、利用料に対して、月額最大20,000円の助成金を支給しています。
失敗しないフリースクールの選び方
お子さんに合ったフリースクールを選ぶためのポイントを紹介します。
- 見学や体験入学会には必ず参加する
- 進路指導の充実度を確認する
- 「出席扱い」の条件を確認する
- お子さんの感覚を最優先にする
保護者主導で決めるのではなく、お子さん自身が「ここなら大丈夫」と感じられる場所を選びましょう。
見学や体験入学会には必ず参加する
Webサイトの情報だけで判断せず、必ず親子で見学や体験入学に参加してください。その際、以下の点を確認しましょう。
- スタッフの対応
- 子どもの話に耳を傾けているか、子どもを尊重する姿勢があるか。
- 在籍生徒の様子
- 通っている生徒たちがリラックスして過ごしているか。
- 環境面
- 休息できるスペースはあるか、通学経路に無理はないか。
また、事前に家族で話し合い、当日に聞きたいことや重点的にチェックしたいポイントをリストアップしておきましょう。お子さん自身が疑問に思っている点も含めてください。
進路指導の充実度を確認する
フリースクールはゴールではなく、社会へ出るための通過点です。お子さんが希望する進路に合ったサポートが受けられるかを確認しましょう。
中学校を卒業した後のステップとして、想定されるルートは主に以下のふたつです。
- 通信制高校や単位制高校への進学
- 全日制高校への進学
通信制高校や単位制高校への進学は、多くのフリースクール生が検討します。毎日通学する必要がない点や自分のペースで学べるといった特徴が、フリースクールでの生活と似ているためです。
通信制高校が運営するフリースクールであれば、進学指導も受けやすいでしょう。
「出席扱い」の条件を確認する
中学校卒業後の進学を考えている場合、フリースクールでの活動が在籍校の「出席扱い」になるかは重要なポイントです。
通学を検討しているフリースクールに「出席扱い」が認められた事例の有無を尋ねてみましょう。実績があれば、学校側との連携方法も確立されています。
ただし、フリースクールでの活動を「出席扱い」とするかの判断は、在籍中学校の校長が行います。
必ず、フリースクールへの通学を決める際には、中学校に報告しましょう。在籍中学校が親身に対応してくれない場合は、フリースクールに問い合わせてみてください。フリースクール側から在籍中学校へ連絡してくれるケースもあります。
お子さんの感覚を最優先にする
フリースクールを選ぶ上で最も重要なポイントは、お子さんが通いたいと思えるかという点です。
保護者としては、学習面のサポートやカリキュラムの充実度が気になるかもしれません。しかし、不登校を経験したお子さんにとって、そのフリースクールが心を落ち着ける場所になるかは、次へ向けての大きな一歩となります。
学校の雰囲気やスタッフの対応を直接確認しながらも、お子さん自身の直感や感覚を尊重しましょう。

まとめ
この記事では、フリースクールの概要や学校との違い、費用相場などを解説しました。
近年、不登校生徒が増加する中で、学校以外の学びの場として、フリースクールへの注目が高まっています。フリースクールは法律上の学校ではないものの、教育機会確保法により公的に認知され、安心して学び直せる環境を提供しています。
学習支援や心のケア、専門家によるサポート、通信制高校と連携したタイプなど、フリースクールの形態はさまざまで、子どもの状態や希望に合わせて選べる点が大きな特徴です。また、条件を満たせば「出席扱い制度」の対象となり、在籍中学校の出席日数として認められる場合もあります。
なお、フリースクールは、民間施設であるため一定の費用負担が必要です。ただし、自治体による補助も広がりつつあります。
フリースクールは、学校とは異なる自由度の高い学びのスタイルによって、子どもが自分のペースで意欲や自信を取り戻し、再び学びへ踏み出すきっかけとなる居場所です。
