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不登校のお子さんに新しい学びを|オンライン型フリースクール(中等部)の特徴と可能性

2026.02.03

不登校のお子さんに新しい学びを|オンライン型フリースクール(中等部)の特徴と可能性

文部科学省の「問題行動・不登校調査」によると、全国の小中学校で2024年度に学校を30日以上欠席した不登校の生徒は35万3970人となり、過去最多を記録しました。

不登校の生徒が年々増加する昨今において、学校以外の学びの選択肢として注目を集めているのがフリースクールです。

かつてのフリースクールは、特定の場所に集まる「通学型」が一般的でした。しかし、ICT(情報通信技術)の進化と社会情勢の変化により、自宅にいながら社会とつながり、学びを継続できる新しい形が定着しつつあります。

この記事では、オンライン型フリースクールの特徴やメリット、費用相場などを解説します。

フリースクール(中等部)の概要

フリースクールは、文部科学省によって「学習活動や教育相談、体験活動などを行う民間施設」と位置付けられています。

この章では、フリースクールが果たす本質的な役割と、近年のオンライン化への流れについて解説します。

義務教育期の生徒を含む多様な学びの場

フリースクールとは「学校外に設けられた、子どものための多様な学びの場」です。

人間関係で傷ついた生徒や、体調不良によって登校が困難になった子どもたちにとって、フリースクールは「ありのままの自分でいて良い場所」です。心理的安全性に基づいた「第三の居場所(サードプレイス)」としての役割を担っています。

フリースクールは、法律に基づく学校教育法に定められた正規の学校ではありません。そのため、スクールごとに特色ある教育スタイルを提供しています。

なお、フリースクールは、2016年に施行された「教育機会確保法」によって、公的に認知された教育の場となりました。

その結果「学校以外の場での休養や学習も必要である」という認識が広まり、フリースクールは単なる「避難所」から「学びの選択肢」へと認識が改められました。

ICTの活用により増加している「オンライン型フリースクール」

かつてのフリースクールは、教室へ子どもたちが通う通学型が中心でした。

しかし、近年では、GIGAスクール構想の普及により、オンライン型フリースクールも増えてきています。GIGAスクール構想とは、文部科学省が推進する、全国の小中学校などで1人1台端末と高速大容量ネットワークを整備し、子どもたち一人ひとりに合わせた「個別最適な学び」と「協働的な学び」を実現するための教育改革です。

オンライン型フリースクールでは、住んでいる地域にフリースクールがない場合や、外出に強い心理的ハードルを感じている子どもでも、自宅にいながら社会との接点を持つことができます。

オンライン型フリースクール(中等部)の特徴

オンライン型フリースクールの仕組みや関わり方は多岐にわたります。この章では、現在の主流となっている二つの形態とその特徴について見ていきましょう。

完全オンライン型

完全オンライン型は、Zoomなどのビデオ会議ツールやSlackやDiscordなどのチャットツールなどを活用して、全ての活動をインターネット上で完結させるスタイルです。メタバース(仮想空間)を使ってアバターを通した交流をしているスクールもあります。

完全オンライン型では、コミュニティツールで友達と一緒に勉強や雑談をしながら仲間とのつながりを感じられる点が魅力です。子どもたちが安心できる距離を保ちつつ、対面に近いコミュニケーションが取れます。

また、「顔出し」を強制せず、カメラOFFやチャットのみの参加などを認めているスクールも多くあります。

オンライン+通学のハイブリッド型

通学ができる活動拠点も運営しているスクールでは、お子さんの希望に合わせて通学とオンラインを切り替えての参加も可能です。例えば、以下のような通い方ができます。

  1. 週3日は自宅からオンラインで参加し、週1日は教室へ行く
  2. 最初はオンラインから始め、慣れてきたら教室へ通ってみる

ハイブリッド型の場合は、理科の実験や調理実習、スポーツなど、オンラインでは難しい実体験をリアルの場で補完し、学びの幅を広げています。

オンライン型フリースクール(中等部)のメリット

オンライン型が選ばれている理由は「便利だから」というだけではありません。

そこには、不登校の子どもたちに「第三の居場所」を与えられる、デジタルならではの優位性が存在します。

心理的負担が軽減される

オンライン型フリースクールであれば、自分が一番安心できる場所から、外の世界とのつながりを作れます。

不登校の状態にある子どもの多くは、外に出ることや同年代の視線にさらされることに強いプレッシャーを感じています。オンラインであれば距離を保ったうえでの学習が可能です。 また、入退出も自由にできるため、無理なく続けやすい点もメリットです。

時間や場所を選ばず参加できる

オンライン型であれば、朝起きてデバイスを起動するだけで、自宅が学び場になります。この仕組みによって、起立性調節障害などのお子さんでも、継続的な学習が可能です。

自分の状況に合わせて、短時間から参加して、徐々に自分のリズムを整えていきましょう。

また、オンライン型フリースクールには、全国の子どもたちがオンライン上に集まります。そのため、住んでいる場所に関係なく、共通の興味や価値観をもった仲間とのコミュニティが生まれます。

出席扱いになる可能性がある

文部科学省では、フリースクールでの活動を出席扱いとして認められる「出席扱い制度」を定めています。なお、近年では、ICTを活用した学習活動も「出席扱い」として認定されるケースが増えています。

出席扱いになるために必要な条件は以下の7つです。(文部科学省「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」より)

  1. 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係があること
  2. ICTや郵送、FAXなどを活用して提供される学習活動であること
  3. 学校の先生による訪問等による対面指導が定期的かつ継続的に行われること
  4. 生徒の今の学力に合わせた計画的な学習プログラムであること
  5. 校長が対面指導や学習活動の状況を十分に把握していること
  6. 生徒が学校外の公的機関や民間施設等で相談・指導を受けられない場合に行う学習活動であること
  7. 学習活動の成果を成績に反映する場合は、学習内容が学校の教育課程と合っていること

出席扱いが認められれば、調査書に出席日数が記録されるため、お子さんの進路の選択肢も広がります。

オンライン型フリースクール(中等部)のデメリット

メリットが多いオンライン型フリースクールですが、注意すべき点も存在します。デメリットを正しく理解し、ミスマッチを防ぎましょう。

対面での交流機会が少ない

オンライン型フリースクールでは、画面越しの交流がメインです。そのため、対面でのリアルな交流の機会は減少します。

対面のフリースクールと比べると、場の空気を読む力や社会的スキルを学ぶ機会は限定されるでしょう。

また、パソコンやタブレットの操作が苦手なお子さんや、オンラインでのやりとりを魅力に感じにくいお子さんにとっては、友だちづくりやコミュニケーションがしづらいと感じるかもしれません。

対面での交流をするには、ハイブリッド型のスクールや、オフラインでのイベントを行っているスクールを選びましょう。

自己管理が必要になる

オンライン学習は自由度が高い反面、自分なりに生活リズムを整え学習する「自律」が求められます。

意欲が低下している時期のお子さんにとっては、自分で始めるという行為自体が重荷になる場合もあります。

活動の継続が苦手なお子さんが、どの程度のサポートを受けられるのか、あらかじめフリースクールに確認しておきましょう。

オンライン型フリースクール(中等部)が向いている人

オンライン型フリースクールのメリット・デメリットを踏まえて、どのようなお子さんにオンラインの学び方が合うのかを解説します。

ただし、オンライン型フリースクールに通う場合も、大人との関わりは必要です。お子さんが自立して学べるようになるまでは、大人が寄り添い、サポートしてあげてください。

通学が困難である

外出そのものに強い拒否反応があるお子さんには、通学の必要がないオンライン型フリースクールが最適です。オンライン型フリースクールであれば、自分が最も安心できる場所から学習ができます。

また、近隣にフリースクールがない場合や通学に時間やコストがかかる場合でも、自宅で一定のサポートが受けられます。

自分のペースで学びたい

自分のペースを大切にしたいお子さんには、オンライン型フリースクールがおすすめです。

オンライン型フリースクールの学習カリキュラムは、一般的な学校のように画一的ではありません。そのため、現状や将来の目標に応じて柔軟に選択できます。

  1. 学校の学習内容に準拠したカリキュラム
  2. 興味・関心を重視した独自カリキュラム
  3. ソーシャルスキル・非認知能力などのコミュニケーションを重視したカリキュラム

プログラミングやeスポーツなど、多様な専門プログラムを提供しているスクールであれば、お子さんの将来の可能性を広げられます。

また、グループワークなどを通じて、協調性やコミュニケーション能力を育むプログラムであれば、オンライン型でも対面に近い交流が可能です。

オンライン型フリースクール(中等部)の費用

2015年に文部科学省が実施した「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」では、フリースクールの入会金は5万3,000円ほどが平均であり、月額の授業料は月1万円~5万円ほどと報告されています。

これは、フリースクール・中等部全般の相場であり、オンライン型に限れば、通学型・通所型フリースクールよりも概ねリーズナブルに設定されているようです。加えて、通学にかかる交通費も発生しません。ただし、進路相談や心理カウンセリングなどのオプションを追加すると、別途費用が発生します。

なお、近年では、不登校支援の重要性の高まりを受け、独自の補助金・助成金制度を始めた自治体もあります。

例えば、東京都では、2024年度から「フリースクール等利用者支援事業(助成金)」を開始しました。フリースクールなどに通う不登校の義務教育段階の児童生徒の保護者を対象に、利用料に対して、月額最大20,000円の助成金を支給しています。

オンライン型フリースクール(中等部)選びのポイント

お子さんに合ったオンライン型フリースクールを選ぶために確認しておくべきポイントを紹介します。

費用面のみで決めるのではなく、お子さん自身が安心して学習できるスクールを選びましょう。

子どもの特性に合っているか

フリースクールは、不登校を経験したお子さんが安心して過ごせる場でなければいけません。お子さんに寄り添い、希望をしっかり聞いてあげましょう。 例えば、進路に合わせた学習がしたい場合は学習特化型、学校以外の居場所が欲しい場合にはコミュニケーション特化型が適しています

サポート体制が充実しているか

フリースクールには、定められたカリキュラムはありません。そのため、スクールごとにサポート体制は多岐にわたります。

お子さんが安心してオンライン型フリースクールを利用するために、事前にスクールの方針や活動内容を確認しましょう。

その際、WebサイトやSNSの情報のみで判断せず、必ず親子で見学や体験入学に参加してください。

なお、見学に行く前に、当日に聞きたいことや重点的にチェックしたいポイントをリストアップしておくと安心です。

また、見学の際には「出席扱い」が認められた事例があるかを尋ねてみましょう。ただし、フリースクールでの活動を「出席扱い」とするかは、在籍中学校の校長が判断します。 そのため、フリースクールへの通学を検討している場合は、必ず中学校に報告しましょう。在籍中学校が親身に対応してくれない場合は、フリースクールに問い合わせてみてください。フリースクール側から在籍中学校へ連絡してくれるケースもあります。

まとめ

この記事では、オンライン型フリースクールの特徴やメリット、費用相場などを解説しました。

不登校の児童生徒が年々増加する中、オンライン型フリースクールは「学校以外の学びの場」として重要な役割を担っています。

ICTの活用により、自宅にいながら安心して学習や人とのつながりを持てる点は、不登校の子どもたちにとって大きなメリットです。

また、心理的負担の軽減や、時間・場所に縛られない柔軟な学習、出席扱いとなる可能性など、多くの利点があります。

大切なのは、費用や評判だけで判断するのではなく、お子さんの特性や状況に合ったスクールを選び、大人が寄り添いながら学びを支えることです。

オンライン型フリースクールは、お子さんが自分らしく成長するための、有力な学びの選択肢といえるでしょう。