安心できる〈居場所〉で自分が変わる
ベネッセ高等学院 中等部
2026.02.17
(取材 ニュースクJr編集部)
もっと自分に適した場所を
不登校が続くと、たいていの中学生は生活リズムが乱れます。インターネットやゲームなどで長時間を過ごすようになり、昼夜が逆転する人も少なくありません。「これではダメだ」と自分では分かっていても、生活リズムの乱れから抜け出すのは、思うほど簡単ではないようです。脱却のきっかけを自分だけでつくるのは、むずかしいことです。
中学校へ行かなくなっても、仲のよい同級生とのつながりを保っている人もいるでしょう。そんな友だちが気持ちの支えになってくれるのはありがたいのですが、日々の過ごし方が違えば、どうしてもお互いの意識にズレができてしまうものです。次第に話が合わなくなるかもしれません。どちらのせいでもなく、しかたのないことです。
このような思いをしている中学生は、行けなくなった(あるいは行きたくなくなった)中学校ではあるけれども、そこに大きな役割があったことに改めて気づいているのではないでしょうか。
そうはいっても、中学校へ戻ることを勧めているのではありません。戻りたい気持ちと戻っても安心できる環境があるのなら、学校復帰をしてみてもよいでしょう。しかし、そうでないなら、もっと自分に適した別な道を選んでみるべきです。
別な道とは、フリースクールです。きっと中学校に代わる気持ちの拠りどころになります。安心して過ごせる居場所になります。新しい進路の可能性が見えてきます。
中高生が全国イベントを運営
リズダム(Risdom)というアプリを知っていますか。英語のクイズに正解することでキャラクターを育成し、リズムバトルで敵を倒すというゲーム型英語学習アプリです。小学生から大人までゲームを楽しみつつ自然と英単語や英文法を覚えられるのが人気で、今年(2026年)1月には初の公式大会の決勝イベントが開催されました。主催はベネッセ高等学院です。大会の模様はネット配信されたので、あなたも熱戦の様子を視聴したかもしれません。
この大会の企画・運営に大きく関わったのが、ベネッセ高等学院のeスポーツ部の中高生たちでした。人気ゲームの公式大会で、しかも全国規模の大きなイベントへの取り組みは、さぞかし達成感のあるものだったでしょう。

お伝えしたいのは、高校生に交じって中学生も大会運営に参加したことです。ベネッセ高等学院が運営するフリースクール(中等部)の生徒です。司会や実況を務めたり、ビジュアル素材をつくったり、ネット配信をしたりと、中等部の生徒たちはそれぞれに力を発揮してリズダム公式大会の成功に貢献しました。生徒の生の声は、ここで聴くことができます。
ベネッセ高等学院の稲見修平さん(中等部広報責任者・eスポーツ部監修)は、中等部の生徒たちを次のように見ています。
「eスポーツ部在籍者に限らず、自分の考えを持った生徒、きっかけを生かして興味や関心を広げていく生徒が多いですね。中学校で普通に学んでいてはできない体験をしたり、気づかない価値観に触れたりすることを、それぞれに楽しんでいるようです」
楽しみを通じて自分が変わる
フリースクールという居場所を見つけて、生徒たちはどう変わっていくのでしょうか。リズダムの大会運営に参加した中学生をはじめ、日頃から中等部の生徒たちと接しているベネッセ高等学院のキャンパス担任でeスポーツ部顧問の先生に詳しく話を聞くことができました。
大会の企画運営へ関わった中学生は、もともと積極的で意欲の高い生徒だったのでは――そんな質問に答えてくれたのは、簑津栞先生(大阪・千里中央キャンパス)です。

「いいえ。じつは最初から自発的に参加した子ばかりではありませんでした。それでも大会の規模や内容、やりがいについて話していくうちに関心を持ってくれたようです。中学生の自分でも関われると分かると、参加してみたいという子たちが現れはじめました」
岩城光祐先生(東京・府中キャンパス)は、大会運営ではなく競技への参加者として関わった中学生も、うれしい変化を見せたと言います。

「リズダム大会のオンライン予選に参加した生徒なのですが、決勝大会を見るために東京の品川区の会場へぜひ行きたいと言ったそうです。『この子が、わざわざ遠出をしたがるほど何かに関心を持つなんて』と、お母さんがとてもうれしそうに話してくれました」
中学校へは行かなくても、生徒がそれぞれに、楽しめるもの、自信になるもの、認め合えるものを見つけて前向きに日々を過ごせることが、フリースクールの大切な役割であるようです。
近すぎず、遠すぎずの距離感
「もちろんeスポーツ以外にも生徒が変わるきっかけは、いろいろあります」と岩城先生。とくに人間関係が原因で中学校へ行かなくなった生徒も、もう一度、無理なく関係づくりを学んでいく機会があるのがフリースクールだと話します。
「好きな俳優、声優、アニメ、ドラマ、音楽など何でもいいんです。お互いに否定せずに、一緒に楽しく語れる趣味や関心があれば、教室でもオンラインでも、それが他人との関係を築くきっかけになります。人間関係に悩んだことのある生徒が集まるフリースクールは、それがしやすい環境かもしれません」
人間関係については「こうしなければならない」「こうあるべきだ」という教室の空気が苦手で、学校を居づらく感じている生徒も多いのではないでしょうか。「だからベネッセ高等学院では、距離感を大切にしています」と簑津先生は言います。
「教室でもオンラインでも、生徒を無理に引っ張らない。でも輪に入りたい生徒は見逃さない。近すぎず、遠すぎずの距離感が、とくにフリースクールの生徒たちにとっては大切です」
自由時間にボードゲームで遊ぶ生徒と教員をいつも遠巻きに見ている一人の生徒がいたそうです。集団が苦手なことが不登校の理由の一つとなっていた生徒でした。あえて誘わず、ただオープンな雰囲気だけはなくさずにいたところ、ある日、その生徒が「ぼくも加わっていいですか」と聞いてきました。「うれしかったですね。大歓迎で一緒にゲームを楽しみました」と簑津先生。生徒にとっても、小さな一言が大きな自信につながったかもしれません。
こうした雰囲気を大事にする同学院だから、たとえばオンラインでも「朝夕のホームルームが楽しい」と生徒に評判です。中学1年から不登校だった2年生女子の母親が驚いて岩城先生に次のように語ったそうです。 「ちゃんと起きて朝9時にはログインしてホームルームに参加している。はじめはパソコン操作も不慣れだったのに。それに、この子がこんなに勉強に集中できるなんて思わなかった。遅れていた勉強もずいぶんと挽回して『自分にもやれるんだ』と自信がついたようです」
手ごたえある学びの場
ベネッセ高等学院の中等部では、生徒は体調や習熟度にあわせて柔軟に設定できる個別の時間割で学べます。自宅で学ぶオンライン型かキャンパスに通う通学型が選べますが、まずはオンライン型からはじめて通学型へ移行することも可能です。
中等部は2025年10月に開校したばかりですが、すでにたくさんの生徒たちが手ごたえのある学びを経験していることは、前述したリズダム大会の例でもよくわかります。岩城先生によると、ほかにも次のような生徒がいたそうです。
「ごく短期間ながら中等部に在籍してオンラインで学んだ生徒がいました。その後は地元のフリースクールに通い、中学校復帰をめざすとの話でしたが、生徒の語った感想が印象に残っています。『オンラインの可能性を知ることができたのは、大きな収穫だった。高校はオンラインで学べる通信制を選んで大学進学をかなえたい。短い期間だったが、ベネッセ高等学院中等部で視野が広がった』と言ってくれました」
希望に叶うフリースクールが通学圏にないような生徒は、上記の生徒のようにオンラインの可能性を試してみるとよいでしょう。また、ともすると親世代はフリースクールやオンラインに先入観を持ってしまいますが、時代は変わっています。またフリースクールも様々です。一般論で判断せず、学校説明会などに出向いて、個々の学校について実地に知ることが大切でしょう。
たとえ今は不登校のために将来が閉ざされたように感じていても、フリースクールを知ることが、新しく一歩を踏み出すきっかけになります。

